人物を撮影する 1

デジタルカメラを使った撮影でも、最も多いのが人物撮影でしょう。でも、なかなか思ったように撮れず、奥の深さを感じさせられるのも人物撮影です。
ここでは撮影するときの意識を少し変えるだけで、ワンランク上の人物撮影ができるコツをご紹介します。
少しの気配りで、人物撮影はもっとよくなる
何気なく撮影した写真では、人物の背景に余計な物がたくさん写り込んでしまうことがよくあります。余計な物が写り込んでいると画面が散漫で、見る側の目線が人物以外に移ってしまい人物の印象が薄まってしまいます。





全身ショット、バストショット、アップショット

人物撮影の構図には、大きく分けて「全身ショット」「バストショット」「アップショット」の3種類があります。それらは特に意識をしなくても撮影はできますが、それぞれのちょっとしたコツを意識するだけで、写真の出来映えはかなり違ってきます。

全身ショット(フルショット)

頭から足の先までを収めた構図で、顔検出機能を搭載するデジタルカメラなら、ほぼ問題なく顔を検出してピントを合わせてくれます。
顔検出機能を搭載していないデジタルカメラであれば、フォーカスロックを利用しましょう。
まず、ファインダーの中心部分を顔に合わせ、シャッターを半押しにして顔にピントを合わせます。これがフォーカスロックの状態です。その状態のまま全身が収まるように構図を整え、さらにシャッターを押し込み撮影します。これで顔にピントが合いつつ、全身が収められた撮影ができます。
このフォーカスロックを利用しないと、胸やお腹にピントが合ってしまう可能性があります。

また全身ショットでは、カメラの位置を低くして撮影すると、背が高くスタイルがよく見えます。

バストショット


胸から頭を収めた構図で、全身ショットよりも顔の表情を捉えやすく、人物撮影の基本といえます。人間の体は縦長なので、カメラも縦位置に構えて撮影すると自然に感じられます。

アップショット


顔全体を収めた構図で、バストショットよりもさらに顔の表情を捉えやすくなります。
アップショットの撮影では、カメラが顔に近づくことで、撮られる側がカメラを意識して表情を堅くしてしまうことがあります。そんな場合はカメラと人の距離をある程度保ち、ズームを利用してアップにしましょう。

撮影場所、背景や周囲の状況に気を配る

人の意識はどうしても、撮りたいものに集中しがちです。しかし撮影した写真を落ち着いて見ると、人物の背景に余計な物がたくさん写り込んでいた、というのはよくあることです。

これらの問題は、撮影場所の選び方や撮影時のちょっとした気配りで解決することができます 。

まず、撮影場所はその場の雰囲気が伝わりやすく、それでいてゴチャゴチャしていないところを選びましょう。さらに奥行きのある場所だと、人物を印象的に捉えることができます。

場所によっては看板や通行人など、背景に余計な物が写り込んでしまうケースもよくありますが、こんなときは一歩横へ動いてみる、少ししゃがんでカメラの位置や角度を変えてみるだけで、背景の余計な物を排除することができます。
後ろにいる人や木、海上の建造物などが写り込んで、ゴチャゴチャした印象になってしまいました。 人が歩き去るのを待って、海上の建造物は人物の後ろに重なるようカメラの角度を変えたことで、スッキリとした印象になりました。

人物の頭上に後ろの支柱が重なり、「串刺し写真」になってしまいました。 撮影者が横に2、3歩移動すると、背景に余計な物がなくなりました。

水平線が人物の首に重なって「ギロチン写真」になってしまいました。 撮影者が少ししゃがむことで、水平線を下げることができました。

撮影の時は一呼吸おいて冷静に、客観的に!
人の意識はどうしても、撮りたいものに集中しがちです。特に人物撮影の時は、「はい、笑って〜」と声を掛けたりすることもあって、周囲にまで意識が行き届かないことがあります。
しかし、そこは一回冷静になって背景に目を配り、ゴチャゴチャしたものはないか、人物を圧迫するような物はないか意識して確認しましょう。ファインダーや液晶モニターを見ていると、どうしても主観的になりがちなので、客観的に見られるよう努力が必要です。

パソコンに取り込んで画像編集ソフトを利用すれば、不要物を消去することも可能です。
しかし、看板やゴミを消去して違和感なく仕上げるには、プロでもかなりの技術が必要です。
カメラの角度を変えたり、ゴミを拾うことで解決するなら、撮影の時にその場で解決しておきましょう。




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