ドコモ P905i レビュー

有効510万画素、オートフォーカス、手ぶれ補正搭載、ドコモ 携帯電話 VIERAケータイ“FOMA P905i”

 パナソニック [ http://panasonic.jp/ ]
 P905i 
 NTTドコモ / パナソニック
 価格:オープンプライス
 発売日:2007年11月28日
ワンセグや GPS 、おサイフケータイなど、多機能化が進む携帯電話において、デジカメ機能の搭載はすでに当たり前で大きな注目を集めることは少ない。しかし最近ではカメラ機能を重視し、高画素化された EXILIM ケータイや、Cyber-shot ケータイなどデジカメブランドの名を冠するモデルも登場している。
今回はカメラ付き携帯電話としてはハイスペックの有効510万画素を有する、ドコモ P905i を取り上げる。薄型テレビのブランドを冠する「VIERAケータイ」だ。
既に発売から時間が経過してしまったが、ここでは高画素化と共に充実したカメラ機能に絞ってレビューしていきたい。

ユニークなWオープンスタイル、高精細3.0型液晶モニター搭載

P905i の特長の一つは、縦横に開く独自の2軸回転ヒンジ構造を採用していることだ。
通常の縦への開き方に加え、ノートパソコンのように横にも開くことでワイドな液晶画面の表示に対応し、特にワンセグ視聴に有利だ。
この縦横に開くスタイルを「W オープンスタイル」と呼んでいる。
通常のタテオープンは本体のヒンジ部分にあるワンプッシュオープンボタンで自動で開き、ヨコオープンは左側面の [OPEN] スイッチをスライド、液晶側ボディがキー側ボディの下部にあるフックに引っかかることでヒンジとなり、横方向にも開閉できる。
初期設定ではヨコオープンに連動して、自動的にワンセグが起動するようになっている。
ユニークなヨコオープンスタイルだが、デジカメ利用にはあまり恩恵がなく、 画面がヨコオープンでもデジカメのメニュー表示は縦方向のままだ。
ヨコオープンスタイルでもキーは物理的に縦方向のままなので、メニュー表示だけ横に対応するとかえってややこしくなる可能性もある。もともとヨコオープンスタイルでのデジカメ撮影は想定されていないようだが、ワイドな液晶ファインダーとして利用できるので勿体なくも感じる。
持ち方はやや強引だが、ヨコオープンスタイルでもデジカメ撮影はできる(写真左)。
撮影は決定ボタンで行い、レンズに指がかからないように構えると若干不自然な持ち方になるが、ヒンジによって自由にアングルが変えられる液晶モニターと思えば、ローアングル(写真中)でも撮影可能だ。
意外と撮影しやすかったのが本を見開いたような状態で(写真右)、メニューが縦方向のままでも不都合はなく、通常のタテ持ちよりも両手で持つことでカメラの安定感も増すことができる。
ただ見た目には携帯電話でもデジカメでもないような、不思議な撮影スタイルだ。

有効510万画素CMOS、高精細3.0型フルワイド液晶モニター搭載

P905i は有効510万画素 CMOS を搭載する。有効200〜300万画素クラスが多い携帯電話の中ではハイスペックで、現在の携帯電話でも搭載されているのはごく一部のモデルに限られる。
ズームは、最大約15.1倍のデジタルズームを採用する。
デジタルズームは光学ズームとは異なり、大きな画像の中心部分を切り抜くことで、擬似的なズーム効果を得ている。そのため画像サイズが大きな5M、3.7Mワイドではズームが利用できない。これはデジタルズームの採用が多い、カメラ付き携帯電話では一般的な仕様だ。
P905i のカメラは、オートフォーカスを搭載する。
コマンドナビゲーションボタンの上ボタン [ch] を押すことで、[AF] [接写] [風景] にフォーカスモードを切替できる。いずれの状態でも AF が働き、下ボタン [AF] ボタンを押すとフォーカスロックも利用できる。
本体メモリへの画像保存は最小サイズである Sub-QCIF(128 × 96 ピクセル:ノーマル)サイズで、最大3500枚まで対応するが、他のデータの保存状況によって枚数は減少する。
メモリーカードは 2GB までの microSD カード、4GB の microSDHC カードに対応し、P905i 本体には背面カバーを外して装着する。
P905i に搭載されている液晶画面は、3.0型フルワイド VGA 、854 × 480 ドットの表示に対応している。これは画素数にすると約40万画素で、同じ3.0型でも約23万画素を搭載することが多いデジタルカメラ専用機と比較しても圧倒的に高精細だ。
さらに P905i では薄型テレビ「VIERA」で培われた技術を導入しており、コントラストが高く色鮮やかな表示が可能だ。視野角は上下左右約160度で、ほぼどの方向から見ても見えにくくなることはない。さすが液晶画面の美しさをアピールするだけのことはあって、見とれてしまうほどの美しさだ。撮影時にファインダーとして利用しても、撮影画像を閲覧する場合でも高い満足感が得られるだろう。

6軸手ブレ補正を搭載、豊富なシーンモードも利用可能

[明るさ調整] [ホワイトバランス] [画像サイズ] など、主な撮影の設定は画面にショートカットキーがあり、1〜6のキーを押すとオンスクリーンで呼び出して設定することができる。

状況に応じて最適な撮影設定がされるシーンモードは、[標準] [ポートレート] [スポーツ] [料理] [風景] [ナイトモード] [逆光] [文字] [雪] [夕焼け] [ペット] と10種類のモードが用意され、ほかにも色調切替として、セピア、白黒、ヴィヴィッドなども利用できる。

設定可能な画像サイズは 5M(2592 × 1944)、3.7Mワイド(2592 × 1456)、3M(2048 × 1536)、2Mワイド(1920 × 1080)、2M(1600 × 1200)、待受(480 × 854)、VGA(640 × 480)、CIF(352 × 288)、QVGA(240 × 320)、QCIF(176 × 144)、Sub-QCIF(128 × 96)と幅広い。

撮影後、本体メモリ、microSD カードへの記録は最大サイズの5Mで約5秒程度必要だ。デジカメ専用機に比べると時間がかかりすぎだが、携帯電話であることを思えば許容できる範囲だろう。高速な microSDHC カードを使えば、もう少し短縮されるのかもしれない。
静止画撮影では縦横2方向、回転方向、前後(ズーム)方向の6軸手ブレ補正を採用する。これはソフトウェアによる画像処理補正技術で、高画素化が進むカメラ付き携帯電話への採用が広がっている。 実際にオン・オフで撮り比べてみたところ、撮影時に自分でもあきらかに手のぶれは感じていたが、充分な効果が得られた。

[手ぶれ補正:切]

[手ぶれ補正:入]
撮影はシャッターボタンとなる決定ボタンを押してから、フォーカス動作を行いシャッターが切れるまで、約2秒程度のタイムラグがある。そのためシャッターチャンスと思っても、タイミングを逃してしまうことが多い。タイムラグが気になるようであれば、フォーカスロックを利用してあらかじめピントを合わせておくことで、タイムラグを稼ぐことができる。

撮影サンプル

シーンモード [風景]
シャッタースピード 1/1400秒、F2.8。
標準
シャッタースピード 1/45秒、F2.8。
標準 [接写]
シャッタースピード 1/800秒、F2.8。

総論:満足できるデジカメ機能、ヨコオープンスタイルのデジカメ対応に期待

P905i の有効510万画素は、A4サイズのプリントにも耐えられる。しかし日常的にはA4サイズでプリントする機会は滅多にないだろう。
そこで P905i の5Mサイズで撮影した画像をL判サイズでプリントしてみたところ、デジカメ専用機で撮影したと言われても納得してしまうほどの仕上がりだった。
店頭では P905i で撮影されたプリントサンプルも用意されているようなので、その実力は自身の目で判断していただきたい。

残念なのは本編でも触れたように、独自のヨコオープンスタイルがデジカメ利用では、ほとんど活かされていない点だ。携帯電話は豊富な機能を備えているため、他の機能との兼ね合いもあるだろうが、せっかくのユニークなスタイルが生かし切れていないようで勿体なく感じる。
次のモデルでは、デジカメ機能でもヨコオープンスタイルの恩恵が受けられるよう期待したい。

今回、デジカメ機能に絞って P905i をレビューしてきたが、デジカメ機能としては満足できる機能を備えている。もちろんデジカメ専用機と比較すればレスポンスや画質面での差はあるが、これまでのカメラ付き携帯電話ではデジカメ専用機との比較など考えすらしなかったが、比較に値するほどの充分な力を持っている。ワンセグを前面に押し出しているため「VIERA ケータイ」と呼ばれるが、デジカメ機能的には「LUMIX ケータイ」を名乗ってもおかしくない。

他にもワンセグ、おサイフケータイ、GPS、ミュージックプレーヤー、Bluetooth など機能が盛り沢山で、「全部入りケータイ」とも呼ばれている。P905i はハイエンドな携帯電話で、さらにデジカメ機能を重視するユーザーに間違いなくオススメできる一台だ。
H-lab:山地啓之)
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 P905i 
 NTTドコモ / パナソニック
 価格:オープンプライス
 発売日:2007年11月28日
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