パナソニック DMC-FZ100 レビュー

光学24倍ズームとフルHD動画で写真も映像も存分に楽しめる
ハイアマチュアデジカメ“パナソニック DMC-FZ100”

 パナソニック [ http://panasonic.jp/ ]
 LUMIX DMC-FZ100
 価格:オープンプライス 最新価格を調べる >>
 発売日:2010年8月20日
デジタルカメラには「高倍率ズームデジカメ」というカテゴリーがある。一般的に10〜20倍前後の倍率を持つレンズ一体型デジカメのことをこう呼び、4〜6倍程度のズームを搭載するコンパクトデジカメとはズーム以外の機能でも一線を画す存在だ。
今回ご紹介するパナソニックのLUMIX DMC-FZ100も、「高倍率ズームデジカメ」に属するハイアマチュア向けデジカメだ。フルHDやフリーアングルモニターの採用など、FZ100も前モデルからの高機能化が図られて見どころが多いデジカメだ。

高倍率ズーム、初のフリーアングルモニターを搭載しつつもコンパクトなボディ

まず、外観からチェック。
FZ100のデザインは過去のFZシリーズを踏襲しており、コンパクトなデジタル一眼のような風貌だ。光学24倍の高倍率ズームを搭載するため、レンズ部はかなり大きくボリューム感がある。
ボディの重量はメモリーカード、バッテリー込みで約540g。一般的なコンパクトデジタルカメラに比べるとやはり重量があるが、35mm換算で600mmのズームレンズを搭載していることを考えれば驚異的に軽い。試用中は肩掛けのバックに入れて持ち歩いたが、FZ100の重さが苦になることは全くなかった。400〜600mmあたりの望遠域を多用するなら三脚も利用する機会が多くなるので、FZ100は荷物の軽量化に貢献してくれた。
グリップは大型でしっかりしており、ホールド時の重量バランスも良好だ。手にしたサイズや重量感は同社のマイクロフォーザーズ一眼 G2 に非常に似ているが、レンズ交換の機構がないぶん横幅が短く、さらにコンパクトだ。
FZ100には専用のレンズフードが付属する。ミゾにはめ込んで90度回転して装着するタイプだが、回転する際のスムーズさが足りず、力を入れすぎるとレンズに影響を与えるのではないかと少し心配になった。
上部には電源ボタン、モードダイヤル、シャッターボタン、ズームレバー、連写ボタン、動画ボタンがある。動画ボタンはモードダイヤルの静止画・動画の状態に関わらず、押せば即座に動画撮影がスタートできる。また、動画撮影時に利用できるステレオマイクも搭載する。ステレオマイクはレンズの広角・望遠操作に連動して集音範囲が変化するズームマイク機能を内蔵する。内蔵ストロボは、背面のボタン操作によりポップアップする。


次に背面を見ていこう。
背面にはファインダーと操作キー、FZシリーズ初となるフリーアングル液晶モニターを搭載し、デジタル一眼のような面持ちだ。
46万画素の3.0型フリーアングル液晶モニターは、左右に180度、上下に270度回転可能で、ハイ/ローアングル・自分撮りなど自由にアングルを変えることができる。実際に使ってみると子供やペット目線、草花などローアングル撮影のメリットは想像していたが、それら高低以外の、普通に構える場合でも液晶モニターを覗きこむような姿勢に制限されることなく自由に撮影ができた。フリーアングルに慣れて、他の固定モニター搭載デジカメに戻ると不自由に感じたくらいだ。
反面、モニターが3.0型であることと、可動のため周囲にフレームがあるため、右側の操作スペースはボタンも小さくやや窮屈に感じられる。動画ボタンが上部に移動したり、過去のモデルにあったジョイスティックが廃止されるなどスッキリはしたが、過去のFZシリーズからの買い換えユーザーだと操作に戸惑うかもしれない。ただ、フリーアングルはそれ以上の恩恵が感じられるだろう。
上部の電子ファインダーとフリーアングル液晶モニターの表示切替は、手動によるボタン操作で行う。同社デジタル一眼のLUMIX G シリーズで採用されている、ファインダーへの顔の接近による自動切替の「アイセンサー」は搭載しない。
その電子ファインダーの解像度は20.2万ドット、視野率100%が確保されている。解像度は高くないが、多くのユーザーはフリーアングルモニターの利用が多くなるだろう。撮影時に必要となる設定画面のほとんどを電子ファインダーで確認でき、視度調整も可能だ。
レンズ鏡胴部側面にはAF・マクロ・MFの切替ができるフォーカススイッチと、追尾AFやフォーカスフレームを指定できるフォーカススイッチがある。

バッテリーとSDメモリーカードは本体の底面から挿入し、容量2GBまでのSDメモリーカード、4〜32GBのSDHCメモリーカード、48GB、64GBのSDXCメモリーカードに対応する。約40MBの内蔵メモリーを搭載するが、HD動画撮影では利用できない。動画撮影でAVCHDを利用する場合はスピードクラス4以上、MOTION JPEGはスピードクラス6以上を推奨している。

 

本体側面にはハイビジョン出力が可能なminiHDMI端子と、付属のAVケーブルとUSBケーブルが接続可能なAVアウト/デジタル端子がある。
さらに外部マイク接続を兼ねたリモート端子も用意されている。ここには別売りのシャッターリモコン(DMW-RSL1)やステレオマイクロホン(DMW-MS1)を接続することができる。いずれも純正品以外の動作は保証されていない。上部にもステレオマイクを内蔵するが、動画撮影で音声も重視するならステレオマイクロホンの利用を検討してみよう。ステレオマイクロホン利用時は上部のホットシューに取り付けるため、外部フラッシュなど他の機器との併用はできない。
イメージセンサーは新開発の有効1410万画素、1/2.33型MOSセンサーを搭載。最大記録サイズは4320×3240ピクセルで、RAW形式とJPEG形式の同時記録に対応する。画角は4:3,3:2,16:9に加え、正方形の1:1にも対応する。レンズは光学式手ブレ補正機構内蔵(POWER O.I.S.)の、ライカDC VARIO-ELMARITレンズを搭載する。

光学24倍に加え、超解像技術「iAズーム」で最大32倍まで寄れる

FZ100の特長のひとつであるズーム機能をみていこう。FZ100は35mm換算で広角25mmから、超望遠600mm相当の光学24倍ズームを搭載する。前モデルFZ38は27〜486mm相当の18倍ズームだったので、広角側も望遠側も長くなった。ズームレバーによる操作はスムーズで、モーター駆動音も気にならないレベルに抑えられている。
また、「超解像技術」を用いた「iAズーム」により、最大32倍の800mm相当まで対応できる。「iAズーム」は光学ズームの望遠端から、さらにデジタルズームにより画像を1.3倍まで拡大しながらも、エッジをクッキリさせる画像処理を行うことで、光学ズームに見劣りしない画質を実現している。ズーム操作時には光学ズーム域から「iAズーム」域に変わるポイントがバーで表示される上、ズームレバーの操作感も少し変化するので意識して使い分けることもできる。常時オンで利用しても良いし、どうしても画質が気になるのであればオフにもできる。

光学1倍(25mm相当)


光学24倍ズーム(600mm相当)


iAズーム 32倍(800mm相当)
さらに、画像の切り抜きによりズーム効果が得られる「EX光学ズーム」も併用することにより、画像サイズが小さくなるものの、約67.4倍までは画質の劣化をほとんど感じさせないズームが利用できる。これらズーム機能が充実しているため「光学ズーム」「iAズーム」「EX光学ズーム」、さらには「デジタルズーム」と、ズームにまつわる機能だけで4つもあり、ずっとLUMIXシリーズを使い続けているユーザーならまだしも、新規ユーザーではそれぞれの違いが判りにくいかもしれない。
ズーミングによりレンズ鏡胴部が、かなり前面にせり出す。さすがに望遠端までいくと重心が少し前に移動するが、極端にバランスが崩れたり持ちづらくなることはない。

電源オフ


広角端


望遠端

望遠端(フード付)
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