オリンパス E-P2 レビュー

拡張性と表現の幅が広がったクラシカルデザインの
マイクロフォーサーズ デジタル一眼“オリンパス E-P2”

 オリンパス [ http://www.olympus.co.jp/ ]
 E-P2
 価格:オープンプライス 最新価格を調べる >>
 発売日:2009年12月4日
オリンパスのマイクロ一眼 ペンE-P1は、デジタルカメラ用のレンズ交換システムであるフォーサーズシステムを小型化した、同社初のマイクロフォーサーズ デジタル一眼として大ヒットした。その第2弾となるのが、今回取り上げるE-P2だ。クラシカルなデザインとコンパクトなボディで、特に女性の一眼ユーザを増やしたと言われる同シリーズだが、ここでは2代目となる本機の進化のポイントを中心にレビューしていこう。

クラシカルな雰囲気が漂う、高い質感のボディデザイン

まず、外観からチェック。
本体のデザインは、前モデルE-P1のデザインを踏襲しており、クラシカルなフィルムカメラを彷彿とさせる。E-P1との大きな違いはカラーリングと、ホットシューに電子ビューファインダーが取り付け可能となったことによる、上部の形状の変更だ。
左からブラック、シルバー
ボディカバーは金属製で、高い質感を持つ。本体重量はバッテリー、メモリーカード込みで約385グラム。コンパクトデジタルカメラを使い慣れたユーザーなら、ズッシリと重く感じるだろう。逆にアナログカメラを知っている世代なら、重量感からもフィルムカメラに通じる懐かしさを感じさせるだろう。見た目の特長の一つでもあるグリップ部は樹脂製だが革のようなテクスチャ加工が施されており、滑りにくくホールド感が良い。
上部には電源ボタン、シャッターボタン、露出補正ボタン、「SSWF」ランプが並ぶ。「SSWF(スーパーソニックウェーブフィルター)」は、撮像素子のフィルターに付着したゴミを超音波振動で払い落とす、ダストリダクション機能だ。電源投入時に自動で働き、ランプが点滅する。露出補正を利用する場合は、露出補正ボタンを押しながら背面のメインダイヤル、またはサブダイヤルの回転で操作する。
上部のモードダイヤルは大部分が本体に埋め込まれた状態で、露出した一部を回す仕組みになっている。そのため、咄嗟にモードを変更したいときなどは、やや回しづらく感じられた。
さらに、アクセサリー類をセットできるホットシューと、背面には電子ビューファインダーを装着できるアクセサリーポートが新たに追加された。前モデルE-P1ではアクセサリーポートが無かったため、光学ビューファインダーのみ取り付け可能だった。
今回はその電子ビューファインダー「VF-2」もお借りすることができた。本体の液晶モニターとの表示切替はVF-2側のボタンで行い、覗きこむ部分のリングの回転により視度補正が可能だ。VF-2の解像度は約144万ドットの視野率100%で、高精細な表示が実現されている。さらにE-P2側では「EVF調整」として、VF-2の表示の明るさと色温度を調整することができる。角度は最大で90度まで変更することができる。E-P2に取り付けると、VF-2側の取付部に厚みがあり思ったよりも高さが増す。VF-2には専用ケースが付属する。
次に背面を見ていこう。背面には3.0型液晶モニターと、各種操作キーがレイアウトされている。液晶モニターは、解像度23万画素のハイパークリスタル液晶モニターを搭載。本体の質感、価格設定からすると、さらに上の46万画素程度の解像度が欲しかった。ただ、視野角は広く、ほぼどの方向からでも表示内容を確認できるので、実用上大きな不満はない。写真向かって右部分は、後ろに向かって少し丸みがあり、構えた際には高いホールド感が得られる。
E-P2の操作系では、丸いロータリー式のメインダイヤルと円筒形のサブダイヤルがポイントだ。これらはメニューの移動や各種の数値設定など、回転操作で素早く行える。特にサブダイヤルは大きく、親指の腹の当たる部分が広いため操作しやすい。画面に表示されるメニューは、縦項目をメインダイヤル、横項目をサブダイヤルで操作できる。それぞれは、操作できる項目のカスタマイズが可能だ。
反対に [AEL/AFL] [再生] [削除] [MENU] ボタンは、同じサイズで縦に整然と並んでいて、押し間違えることが多かった。慣れの問題もあるだろうが、各機能は利用頻度、関連性も異なるため、ボタンサイズやレイアウトにもう少し変化を持たせても良いだろう。
本体側面には付属のAVケーブルとUSBケーブルが接続可能な専用ジャックと、ハイビジョン出力が可能なminiHDMI端子が搭載されている。E-P2をHDMIケーブルでテレビに接続すると、テレビのリモコン操作でE-P2をコントロールすることができる。(※テレビによっては操作できない場合もあります。) HDMI端子の利用には、別売りのHDMIミニケーブルが必要だ。
バッテリーとSDメモリーカードは本体グリップ部の底面から挿入する。容量2GBまでのSDメモリーカード、4〜32GBのSDHCメモリーカードに対応する。内蔵メモリーは持たない。

E-P2は1,230万画素のハイスピードLive MOSセンサーを採用し、最大画像サイズ4032×3024ピクセルの撮影が可能だ。また、手ぶれの際にぶれ幅を撮像素子のシフト駆動で相殺する「ボディ内手ぶれ補正」を内蔵する。そのため様々なレンズに交換しても、手ぶれ補正の恩恵が受けられるのは頼もしい。
今回は交換レンズとして単焦点レンズのM.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8(35mm換算で34mm相当)と、標準ズームのM.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6(35mm換算で28 - 84mm相当)をお借りした。
M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8は、その形状から「パンケーキレンズ」と呼ばれるタイプで、前回レビューを行ったパナソニックのマイクロフォーサーズ機LUMIX DMC-GF1で利用したLUMIX G 20/F1.7ほど明るくはないが、厚さ22mmと薄いのが特長で、E-P2のコンパクトなボディと相まって扱いやすいレンズだ。レンズ構成は両面非球面レンズ1枚を含む4群6枚、最短撮影距離は0.2mとなっている。
もう一つのM.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6はユニークな構造で、未使用時には下の写真のように鏡胴が収納されて全長43.5mmのコンパクトサイズになり、使用時には鏡胴が前面に押し出される沈胴式ズームを採用する。レンズ構成はEDレンズ1枚、HRレンズ1枚、非球面レンズ2枚の8群9枚、最短撮影距離は0.25m。M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8と2本態勢で持ち歩いても、特別なカメラバックでなく一般的なカバンでもスマートに持ち運ぶことができる。鏡胴が伸びた状態でもホールドバランスは良好で、鏡胴部にはロックスイッチがあり、不用意に鏡胴が飛び出してしまうことがない。
どちらのレンズも動画撮影時にAFは可能だが、駆動音がやや大きく再生時にも気になるほどの大きさで記録されてしまう。これはレンズの構造と共に、ボディ側のマイクが「OLYMPUS」ロゴの左右に付いており、位置的に起動音を拾いやすいことも影響しているだろう。本格的な動画撮影に利用するなら、オプションのマイクセット1 SEMA-1の利用を考えたほうが良いだろう。

自動でシーンを判別する「iAUTO」と、印象的な色合いで撮影できる「仕上げ」

E-P2は多彩な撮影モードをを搭載する。その1つがカメラを被写体に向けるだけで、その状況から自動で最適な撮影モードを設定する「iAUTO」だ。すでにコンパクトデジタルカメラでは馴染みのある同機能を、デジタル一眼にも採用することで、撮影技術が充分ではない一眼初心者でも抵抗なく触ることができる。「iAUTO」が自動判別するのは [ポートレート] [スポーツ] [風景] [夜景] [マクロ] [夜景&人物] の6種類。
また、撮影時に印象的な色合いで記録できる「仕上がり」がある。これは鮮やかさや色合いを意図的に変更できる機能だが、E-P2では脳科学の観点から人の撮影時の印象に近い色を再現する「i-FINISH」という機能がある。プロのカメラマンは心で感じたことを、その技術を持って最適な設定をカメラに施すことにより、反映し記録している。
しかし、熟練した技術と知識を持たない一般のユーザーでは、その感動をカメラに反映させる技術が不十分で撮影結果に物足りなさを感じてしまう。このギャップをカメラ側がサポートし、単に正しい色や綺麗な色ではなく、より人の感情に好ましい印象の色で撮影するのが「i-FINISH」だ。「i-FINISH」はコントラスト、シャープネス、彩度を調整可能で、効果は強・標準・弱で設定できるが、被写体をカメラが認識・分析するため、被写体によっては効果が判りにくい場合もある。

i FINISH:オフ

i FINISH:オン
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