ニコン COOLPIX S600 レビュー

高速レスポンスでコンパクト、光学4倍ズームを搭載する
有効1000万画素デジタルカメラ“ニコン COOLPIX S600”

 ニコン [ http://www.nikon.co.jp/ ]
 COOLPIX S600
 価格:オープンプライス 最新価格を調べる >>
 発売日:2008年3月14日
ニコンのコンパクトデジタルカメラのラインナップは、ハイエンドなCOOLPIX Pシリーズと、初心者向けのCOOLPIX Lシリーズ、そして最もラインアップ数が多く人気モデルが揃ったCOOLPIX Sシリーズがある。現在(2008年5月)では新旧モデルの入れ替わりもあって、Sシリーズは全8モデルと多く、カラーナインナップが豊富なモデルや無線LAN内蔵モデルなど、幅広く揃っている。
今回はその中でもコンパクトで高速レスポンスが特長の、COOLPIX S600を取り上げる。

コンパクトでクール、精悍なステンレスボディ

まずは外観からチェック。
COOLPIX S600 のボディデザインは、基本的には前モデルのCOOLPIX S510を踏襲しており、コンパクトで精悍な印象だ。従来と比較するとエッジに傾斜が付けられたヘアーライン仕上げによって、シャープで硬派な雰囲気は薄まった印象だ。男が持つ道具的なイメージは弱まり、女性でも違和感なく手にすることができるボディデザインになった。
今回は特にクールな印象のチタンシルバーをお借りしたが、ほかにはピンクゴールド、アーバンブラックがラインアップされている。

ボディカバーは前モデル同様ステンレスが用いられ、手に持つと見た目のコンパクトさとは裏腹に重量感がある。「コンパクト」だが「軽量」ではないが、質感の高さに通じる重さで気になるほどではない。前面は金属の削り出しのような加工が施され、側面・背面は少し光沢感があるが、指紋は残りにくい。
グリップのような膨らみはないものの、持ってみると背面の操作キー類の凹凸が適度に手にフィットするのでホールド感は良好だ。

上部のボタンは電源スイッチとシャッターボタンのみでスッキリしている。それぞれはサイズと高さが異なるので、慣れれば目視しなくても指先で位置を判断できるだろう。
小さな穴が開いているところが電源ボタンの近くと、側面寄りの2箇所あり、これらはマイクとスピーカーとなっている。
撮像素子は、1/2.33型原色CCDの有効1000万画素で、記録サイズは最大で3648×2736ピクセル。レンズは沈胴式の35mm判換算で、28-112mm相当の光学4倍ズーム、ニッコールレンズを搭載している。
COOLPIX S600の外観で、唯一気になるのが開閉するレンズカバーだ。チタンシルバーのカラーに合わせたであろうグレーが、明るめのグレーのため樹脂であることを強く感じさせて、安っぽく感じる。ボディの高級感からすると、違和感があり残念だ。
続いて背面を見てみよう。
背面には2.7型液晶モニターと操作キーが並ぶ。液晶モニターは反射防止コート付きの、2.7型23万画素を採用している。液晶モニターがボディ一サイズ一杯まであり、周囲のスペースも少ないため、2.7型の数値以上に大きく感じられる。
液晶モニターの表示は明るく非常に綺麗だ。視野角も広く、ほぼどの角度からでも明るくハッキリと見える。表示品質はコンパクトデジタルカメラの中でもトップクラスで、高い満足度が得られるだろう。ただしサイズが大きいだけに指紋が付きやすいので、保護シールの利用をお勧めしたい。
操作キーでは上下左右の方向キーとスクロールキーを兼ね備えた、円いロータリーマルチセレクターが特長だ。ボディサイズがコンパクトなので、キー類は全体的に小さめで、指が太い男性だと押しづらく感じるかもしれない。
ズームキーのテレ側 [T] キーは、メニュー画面でヘルプ画面を呼び出すことができる。
メモリーカードはSDメモリーカード、SDHCメモリーカードに対応し、本体底面から挿入する。
取扱説明書の記述によると、4GBまでのSDHCメモリーカードに対応するようだが、手元にあった16GBのSDHCメモリーカードでも撮影・再生は可能だった。ただし利用に関しては、自己責任で対応して欲しい。

COOLPIX S600 の本体にも約45MBのメモリーを内蔵しており、最大記録サイズの10M(3648×2736ピクセル:高画質)では9枚撮影、L判サイズ相当の3Mでは49枚の撮影が可能なので、カードが満杯になったり入れ忘れたときなど、いざというときには役に立ってくれるだろう。

側面には付属AVケーブルでテレビ出力が可能な、AV出力機能を備えたUSB端子を装備する。

約0.7秒の世界最速起動、軽快な操作が行えるロータリーマルチセレクター

次に撮影モードや設定を含めた操作面を見ていこう。
COOLPIX Sシリーズの特長として、起動や撮影時のレスポンスの良さがある。起動時間は世界最速で約0.7秒。電源ボタンを押してから、ほぼ待たされることなく液晶モニターが表示される。
ただし実際にシャッターボタンが押せて撮影可能となるまでは、若干の時間が必要だ。
操作キーでは前モデルから採用されている、ロータリーマルチセレクターが特長だ。キーの回転により撮影モード、再生モードなどのメニュー操作が行え、上下左右の方向キーの役割も兼ね備えている。
再生モードで目的の画像を検索する場合でも、画面のスクロールが高速に行えて快適だ。このあたりにもレスポンスの良さを実感できる。
過去のモデルでは、回転がスムーズすぎてメニュー操作で目的の項目で止めたつもりでも行き過ぎてしまうことがあったが、COOLPIX S600ではそのようなことはなかった。
気になったのはロータリーマルチセレクターと中心のOKキーは高さの差がほとんどないため、決定操作を行うつもりが右方向を押してしまうなど誤操作することがあったことだ。少し凹凸差があるだけで、スムーズに操作できると思うので何らかの対策を望みたい。

Sシリーズ初の広角28mm搭載、光学4倍ズームと3cmマクロで幅広い被写体に対応

COOLPIX S600は、28-112mm相当の光学4倍ズーム、ニッコールレンズを搭載している。広角28mmの搭載はSシリーズ初で、待望していたCOOLPIXファンも多いだろう。
さらに電子(デジタル)ズーム4倍に対応し、光学との併用で最大16倍まで利用できる。この場合は画像を拡大処理しているので、光学に比べると画質が劣化を起こすが、記録サイズを落とすことで、電子ズーム域でも画質を劣化させずにズーム操作が行える。これは大きな記録サイズから倍率に応じた範囲を切り抜いて拡大効果を得ているので、サイズは小さくなるが画質は維持できる。
ズームキーの操作では光学域とデジタル域でズームが一旦停止し、画質に影響を与える範囲を指先と、画面上のズームバーが知らせてくれる。
光学1倍(広角28mm) 光学4倍 光学・電子併用16倍

また広角側では最短3cmのマクロ撮影に対応しているので、料理や小物の細かなディテールまで捉えることができる。
ただし3cmのマクロ撮影では手ぶれの影響が大きく、COOLPIX S600の手ブレ補正機能でも対応しきれないので、カメラは固定が必要だ。
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