最高感度1600で手ぶれ、被写体ぶれ、さらに暗い場所にも強い500万画素コンパクトデジカメ“富士フイルム FinePix Z2”

富士フイルム [ http://fujifilm.jp/ ]
FinePix Z2
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発売日: 2005年11月12日
デジカメ撮影で最も失敗しやすいのが「手ぶれ」「被写体ぶれ」だ。原因はカメラの構え方が悪かったりや予測できない被写体の動きもあるが、これまでのデジカメは ISO 感度が低く手のぶれや動きが速い被写体の撮影は苦手だったからだ。
それがここ数年、手ぶれを補正するために ISO 感度をアップするデジカメが増えてきた。ここで紹介する FinePix Z2 もそのひとつだ。前モデルの FinePix Z1 は ISO800 までだったが、FinePix Z2 では最高感度を1600にアップして、手ぶれに強く、動きに強く、さらに暗い場所での撮影にも強くなった。
その実力を操作感も含めてレビューしていきたい。

スライドするレンズカバーが特徴的なフラットボディ

まず、外観からチェックしよう。
外観のデザインは、前モデルの FinePix Z1 から大きな変更はなく、特徴的な前面のレンズカバーも継承されている。カバーは前面のほぼ全体を覆っており、閉じた状態では目立った突起もなくフラットな状態となる。前から見ると非常にシンプルで、アルミ製の名刺入れかタバコケースのようにも見えるので、知らなければ「え? これがデジカメ?」という周囲の反応が得られるだろう。

FinePix Z2 の電源オン・オフは、このレンズカバーの開閉で行う。触りはじめた当初はそのことに慣れていなかったので、既に電源が入っているのにもかかわらず、「電源ボタンは…」と探してしまうことがあったが、使うにつれてこのカバーが意外なほどに便利であることに気がついた。

一般的な長押しボタンだと「電源を入れて…」と少なからず意識するのだが、FinePix Z2 の場合は慣れてくるとポケットから取り出す動作とレンズカバーをスライドする動作が同時に行えて、スッと目の前で構えたときには既に撮影可能状態となっている。カバー全体がスイッチなので指先で電源ボタンの位置を探す必要もなく、オン・オフが無意識な動作の中で行える。

ただし、レンズカバーがフラットなので、毛糸のような素材の手袋をしたままでは滑ってしまって開閉が難しいこともあるだろう。素手で開閉するぶんには全く問題はない。

本体はアルミ製で前面と背面では表面処理が異なり、色も違う。
本体から受ける印象はシンプルでシャープだ。今回はレビュー用にシルバーをお借りしたが、他にブラック、ホワイト、レッドがラインナップされている。見た目には突起がほとんどなく構えにくそうに感じるが、実際に持ってみるとそうでもない。レンズが左上に配置されているため右手で包み込める範囲が多くなり、レンズが中心にあるタイプより、むしろシッカリと掴める。

さらに背面からサイドにかけて角が大きく丸く処理されているため、手に馴染みやすい。
背面からサイドにかけてのカバーが肉厚に見えるので重そうに感じるかもしれない。実際には約1mm程度で見た目ほどの厚みはなく、重量もバッテリー、メモリーカードを含んでも150gで、特に重い部類ではない。

レンズ部分は本体内部でレンズが縦に並んで駆動し、正面から入った光を90度屈曲させる屈曲光学式3倍ズームレンズを搭載することで、厚み18.6mmのスリムボディを実現している。
次に背面を見ていこう。
背面もボタンやアイコンが少なく、スッキリした印象を受ける。背面右にはズーム、再生、十字キー、メニューボタンなどが並ぶ。

液晶モニターは2.5型の低温ポリシリコンTFTを採用することで従来よりも明るさが30%アップした。太陽マークを押すことで液晶がさらに明るくなり、晴天の屋外でも見やすくなる。
液晶の解像度は約23.2万画素で、従来よりも高精細な表示が可能だ。最近では液晶モニターのサイズだけでなく、解像度も重要なポイントとなっているので嬉しい対応だ。

液晶モニターの表面はキズに強い強化ガラスが使われている。液晶が大型化するにつれてキズや指紋が付きやすくなるので、購入時に液晶保護フィルムを利用するユーザーも多いと思うが、本体側でも防止策がとられているのは心強い。ちなみにカタログによると強化ガラスはアクリルに比べ、キズに対して約35倍の強さを持っているとのことだ。

ボタン類は十字キー、メニューなどの他に撮影後の画像を即座に表示できる再生ボタンがある。再生ボタンは前面のレンズカバーが閉じた電源オフの状態でも長押しすることでも画像を表示することができるので、画像ビューワーのような感覚で画像を閲覧できる。
隣にある [F] ボタンは、画像サイズ、ISO感度、画像の色合いを変更できる「フォトモード」を設定可能だ。
右手で構えたときに親指が当たる部分には、滑り止めとして丸いシリコンが3つ並んでいる。このシリコン部分の左端はインジケーターランプの役割もあり、ピント合わせやメモリーカードへの記録の際に点灯、点滅で知らせてくれる。

そういえば本体にはランプのたぐいがほとんど見あたらない。前面にも無いのでセルフタイマーはどうやって知らせるのかと思えば、スライドしたカバーのストロボ横の奥が赤く光るようになっていた。このあたりは機能をデザインに落とし込む際の、こだわりを感じさせる。セルフタイマー設定時には、液晶モニター上では残り秒数のカウントダウンも行われる。

上部にはマイクとシャッターボタン、静止画・動画モードスライダスイッチがある。ボタンとレバーなのでシャッターとモード切替を間違えて押すことはないだろう。

FinePix Z2 ではメモリーカードに xDピクチャーカードを使い、バッテリーと共に本体の底面からセットする。メモリーカードとバッテリーの挿入方向は、本体の蓋に接点部分を表すゴールドの印や、矢印がついていて挿入方向を間違えないような工夫がされている。
バッテリーはフル充電で、公称約170枚(CIPA準拠※)の撮影が可能となっている。

気になるのは本体に三脚用の穴がないことだ。状況によってはセルフタイマーでの撮影や、角度を付けて固定したい場合もある。最近では三脚穴がないデジカメにも対応するアイディア三脚もあるが、所有している三脚が利用できないのは残念だ。

※CIPA規格:カメラ映像機器工業会(Camera & Imaging Products Association)が定める電池寿命測定方法についての統一規格。

2.5型の大画面を、もっと生かして欲しいメニュー表示

前面のレンズカバーをスライドさせると、約0.6秒で撮影可能な状態となる。
まず、静止画・動画モードの切り替えは上部のスライダスイッチで行い、それぞれの詳細な設定は液晶モニターに表示されるメニュー操作で行う。
メニューは左から右へのディレクトリ構造となっていているのだが、メニュー表示が液晶モニターの広さを充分に使い切れていないように思う。せっかく2.5インチのサイズがあるのにも関わらず周囲に余白が多く、各機能を表す文字やアイコンも小さい。

本体のスタイリッシュなデザインに比べると、メニュー表示は素っ気なく堅いイメージを受けるのだ。大画面を生かして各機能の補足説明を付け加えるとか、アイコンをもっとグラフィカルにするなど、もう少しユーザーフレンドリーなアプローチが欲しい。

撮影時に表示される情報としては撮影モード、ストロボの有無、画像サイズ、手ぶれ警告があり、シャッターを半押しするとシャッタースピードと絞り値が表示される。

ストロボの切り替えやマクロ設定時には、選択時に数秒間だけアイコンがイエローで拡大表示されるので、選択している状態がわかりやすい。

[DISP] ボタンは押すごとに、情報表示のオン・オフ、構図決定に便利なグリッド表示、さらに「アシストウィンドウ表示」がある。「アシストウィンドウ表示」は、直前に撮影した画像を左に3枚並べて表示することができる。表示されるがサイズは小さいが、およその雰囲気は掴めるので、構図や露出補正で明るさを段階的に変化させて撮影する場合には、直前の画像と見比べることができるので便利だ。


フォトモードボタン [F] を押すと、画像サイズの設定が可能だ。選択できる画像サイズは、[5M F] [5M N] [3:2] [3M] [2M] [03M] の6種類となっており、最大サイズの 5M のみ、ファインとノーマルの画質設定が可能だ。また、 [3:2] はフィルムや一般的なポストカードの比率と同じ(他は4:3)となっている。

ただやはり、メガピクセルでの選択はプリントなど使う用途の適切なサイズがわかりにくい。説明書を読めば理解できるが、[3:2] が何のために比率を変える必要があるのかピンと来ないし、[03M] というのはメール添付やホームページに最適な 640 × 480 ピクセルのことだが、あまり一般的ではなく伝わりにくい。
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