世界最薄ボディに光学7倍ズームと、CCDシフト方式手ブレ補正機構を搭載する“カシオ EXILIM Hi ZOOM EX-V7”

カシオ [ http://dc.casio.jp/ ]
EXILIM Hi ZOOM EX-V7
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発売日: 2007年2月23日
ある調査によると、2006年のデジタルカメラ生産実績は前年度を上回ったとの報告がある。これはデジタル一眼レフの伸びが貢献しているほか、コンパクトデジタルカメラでも買い換え需要が動きとしてあるようだ。しかし、コンパクトデジタルカメラは手ぶれ補正や大画面液晶の搭載など、次々とトレンドが起きつつも各社共に対応が早く差別化が難しくなりつつある。

そのような状況の中でもカシオは、過去の EXILIM シリーズを見ても手ぶれ軽減、大型液晶、1000万画素というように積極的に先進的な機能を盛り込んできた。今回ご紹介する EX-V7 も、コンパクトなボディへの光学7倍ズームの搭載や、次世代規格による高画質な動画撮影など他社にはない機能を先駆けて搭載してきた。それらはデジカメの次の世代の差別化となりうるのか、その実力をじっくり見ていきたい。

落ち着いたデザインで、満足度の高い質感のボディ

まずは外観からチェック。
これまでの EXILIM シリーズのほとんどは、起動時にレンズが前にせり出すタイプの沈胴式ズームレンズを採用し、いわゆるカメラらしいデザインであった。 これに対し、EX-V7 ではスライド式のレンズカバーを採用し、レンズユニットが本体内部に納められたため、スッキリとした印象に仕上がっている。他社では似たようなデザインもすでに存在するが、EXILIMシリーズとしては、従来と方向性が異なるデザインだけに意欲的なモデルであることが伺える。ラインアップも「Hi ZOOM」として、従来とは別のライン扱いだ。
EX-V7 のボディカラーは、シルバーとブラックがラインアップされており、今回はブラックをお借りすることができた。レンズカバーには少し光沢があり、それ以外のボディは艶消し処理がされ指紋なども付きにくい。スタイリッシュなボディを黒がさらに引き締める印象で、どちらかというとブラックモデルは、硬派な雰囲気で男っぽさが漂う。
本体サイズは幅 95.5mm、高さ 59.8mmと、カードサイズを少し上回るが、奥行きは 25.5mmと光学7倍ズームを搭載しているデジタルカメラとしては十分な薄さで、世界最薄となる。

手に持ってみると見た目よりも少しズッシリする印象だが、これまでもEXILIM シリーズもスリムなモデルあっても妙な軽さはなく、それがかえって安っぽさを感じさせることがなかった。EX-V7 も安心感のある重さに収まっていて、ある程度の重さがある方が、手ぶれしにくいといったメリットもある。

横から見ると判るように、本体前面は少し膨らみがある。レンズカバーを開いた位置にスライドすると、カバーの膨らみがグリップの役割となりカメラが安定しやすい。
しかしこのレンズカバーがくせ者で、ズーム操作の際に指に力が入りレンズカバーがわずかにスライドするだけで、電源オフと判断されて液晶モニターが暗転することが何度かあった。カバーの位置と電源オン・オフの判定が敏感すぎるのだろう。

前面のレンズカバーが電源スイッチとなるので、上部にはシャッターボタンがあるのみでスッキリしている。

レンズは本体内部にユニットを持ち、入射した光を90度に曲げて取り込む屈曲光学式を採用している。光学7倍ズームを実現するため、9群12枚のレンズ構成にも関わらずスリムなボディであるのはこのためだ。レンズの下には動画撮影用の照明ライトとステレオマイクが内蔵されているため、レンズユニットは本体内部の横方向に構成されていると思われる。CCDは1/2.5型720万画素だ。
少し気になったのは、レンズが本体の端へ寄っているため、カメラを構えた時の指がかぶってしまうことが何度かあったことだ。左手を添えてシッカリ構えようとすればするほど、レンズに被りやすくなるので構える場合は慣れが必要だ。
次に背面を見ていこう。
背面にはズームレバー、再生ボタン、コントロールボタンなどがあり、新たに採用された丸いモードダイヤルが特徴的だ。液晶モニターは2.5型で23万画素を採用し、高精細な部類に入る。
しかし、視野角(斜め方向からの綺麗に見える角度)は狭く、上下左右共にカメラを少し傾けるだけで、明暗が反転してしまい見づらい時がある。

EX-V7 ではオートでの撮影やシーンモードの他に、絞り優先モード、シャッタースピード優先モード、マニュアルモード、動画撮影など利用できる撮影モードが充実しているため、モードダイヤルを採用している。
底面には付属するクレードルとの接続端子と、三脚用の穴が用意されている。三脚の穴は端の方へ寄っているため、ミニミニ三脚など安定性に欠けるタイプへの取り付けは避けた方がよいだろう。小型の三脚でも EX-V7 の場合は比較的ズッシリしているので、バランスが崩れないように注意が必要だ。

バッテリーとメモリーカードは本体側面から挿入する。SDメモリーカード、マルチメディアカード、マルチメディアカードplus のほか、4GB以上の大容量のSDHCメモリーカードに対応しているので、最大 7Mサイズ(3072×2304ピクセル)での撮影にも余裕で対応できる。本体には11.6MBのメモリーを内蔵するが、7Mサイズでは2枚しか撮影できないので、オマケと思った方が良い。

高画質なズームが可能な光学7倍ズームと、HDズーム

EX-V7 の特長のひとつにズーム倍率の大きさがある。このクラスのスリムなデジタルカメラで光学7倍ズームが利用できるのは嬉しい。さらに EX-V7 ではデジタルズームとして最大33.2倍の倍率を持つ「HDズーム」が用意されている。これは光学7倍ズーム時の中央部分を拡大した、擬似的なズーム処理となる。画質としては30万画素レベルで一般的なデジタルズームと同様に劣化が見られるが、ブログ用に縮小するなど用途によっては十分使えるレベルだ。 下記の時計を撮影したサンプルを参照して欲しい。この程度に縮小する目的なら十分利用できる。
光学1倍(35mm相当) 光学7倍(266mm相当)
 
HDズーム33.2倍  
ズーム操作時は耳をかざしてもモーター音が聞こえないほど、ほぼ無音の状態で動作するので、静まりかえった場所でも周囲に迷惑をかけることなく操作が可能だ。ズームスピードはズームレバーの位置により高速・低速、2段階でのズーミングが可能で、ズーム位置の微妙な調整や、動画撮影時にゆっくりとズームイン・アウトさせたい時に便利だ。

EXILIM シリーズ初のCCDシフト機能による手ぶれ軽減を搭載

今では当たり前となった手ぶれへの対応は、コンパクトデジタルカメラの中でも EXILIM シリーズは比較的早く、これまで高感度ISOによる手ぶれ軽減を採用してきた。しかし、他社が画質に影響を与えないレンズシフト式などを搭載してくる中で、高感度ISOによる手ぶれ軽減はノイズが発生しやすく画質面で不利であった。今回、EX-V7 では同社初となるCCDシフト機構による手ぶれ軽減機能を搭載し、画質への影響をクリアした。
ぶれ軽減の設定はメニュー操作で行う。設定は3種類で、[オート] は手ぶれと被写体ぶれの両方に対応し、[手ブレ補正] は手ぶれのみ、[被写体ブレ] は高感度ISOによる被写体ぶれへの対応となる。
実際に使ってみた感触では、手ぶれ軽減をオンにしてシャッターを半押しにすると、CCDシフト機構が駆動するモーターの振動が若干感じられる。先に説明した高倍率ズームの場合は自分でも手ぶれをかなり感じられたが、手ぶれ軽減機能に助けられることが何度もあった。
高感度ISOによるぶれ補正は、新たに搭載された画像処理プロセッサー「EXILIMエンジン2.0」により、被写体の動きの有無に応じて自動でISO感度をコントロールして、ノイズの発生を最小限に抑えるよう機能アップが図られている。
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